「私の会社は副業禁止の会社だから不動産投資はできない?」
「会社員・サラリーマンが不動産投資をする際に注意しないといけないことはなに?」
「そもそも会社員・サラリーマンに不動産投資がおすすめな理由は?」
といった疑問をあなたはお持ちではないでしょうか。
そのような方向けに、この記事では会社員が不動産投資をやるうえで知っておくべきことについて解説してますので、ぜひご覧ください。
以下の目次から気になる箇所に飛ぶこともできます。
副業禁止の会社では不動産投資ができないのか
不動産投資に興味を持っているものの、勤務している会社が副業を禁止しているケースがあります。
しかし、副業が禁止されていても不動産投資は許可されるケースは多いです。
その理由としては厚生労働省が掲げる副業・兼業に関するモデル規則上、不動産投資は制限・禁止の対象になりにくいことや、相続などで仕方なく不動産投資をすることになるケースもあるためです。
モデル規則は下記の通りです。
(副業・兼業)
引用:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
第68条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合
とはいえ、会社によっては不動産投資が禁止されているケースや、特定の銀行や管理会社との取引が禁止されているケースなどがあるため、会社の規則を確認するようにしましょう。
ここからは不動産投資が副業に該当しないことを会社に説明する必要が生じた際の、正当な理由になり得る例をいくつか紹介していきます。
不動産投資が”副業”に該当しないと主張する際の理由
不動産投資が副業に該当しないことを会社に説明する必要が生じた際の、正当な理由になり得る例としては以下の4つがあります。
- 投資していても本業に支障が出にくいため
- 企業情報の漏洩リスクが低いため
- 会社の名誉や信用を損なうことにはなりにくいため
- 会社の利益を損なうことにはなりにくいため
それぞれの内容について説明していきます。
投資していても本業に支障が出にくいため
会社が副業を禁止する主なケースとして、「労務提供上の支障がある場合」というものがあります。
これは副業に時間を割きすぎるなどして、本業に支障が出てしまうケースです。
しかし、不動産投資の場合、建物や入居者の管理を管理会社に任せておけば、本業に支障は出ないでしょう。
以下は不動産投資に割く時間のイメージです。
不動産投資は他のビジネスと比べてかける手間や時間が少ないことが特徴です。
投資の流れと、それに対する一例としての目安の時間は下記の通りです。
・物件掲載サイトや不動産業者からの新着物件通知を確認する(1日30分)
・気になる物件を調査する(机上調査30分、現地調査90分<移動時間は往復30分と仮定>)
・金融機関に融資を相談し、必要書類や情報を提示する(1時間)
・契約する物件の重要事項説明を受ける(1時間)
・売買契約を結ぶ(1時間)
・金融機関から融資を受ける契約を結ぶ(1時間)
・決済し、物件を引き渡してもらう(1時間)
・晴れてオーナーになり、管理業務(家賃の集金や、クレーム対応、退去時の立会い、工事業者の手配など)を管理会社に任せればほとんど時間を取られることはない
不動産投資のメリット・デメリット・リスクとは【不動産投資家が解説】
そのため、「労務提供上の支障があるか」という点において不動産投資が副業に該当しないと主張できます。
企業情報の漏洩リスクが低いため
会社が副業を禁止する主なケースとして、「企業秘密が漏洩する場合」というものがあります。
しかし、不動産投資の場合、入居者へ提供する価値は「住居の提供」であり、務めている会社の業務内容にもよりますが企業秘密を漏洩するリスクはほとんどないでしょう。
そのため、「企業秘密が漏洩するリスクがあるか」という点において不動産投資が副業に該当しないと主張できます。
会社の名誉や信用を損なうことにはなりにくいため
会社が副業を禁止する主なケースとして、「会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合」というものがあります。
しかし、不動産投資の場合、銀行から融資を受ける際を除いて会社名を表に出す機会はほとんどなく、会社の名誉や信用を損なうリスクは低いです。
そのため、「会社の名誉や信用を損なったり、信頼関係を破壊するリスクがあるか」という点において不動産投資が副業に該当しないと主張できます。
会社の利益を損なうことにはなりにくいため
会社が副業を禁止する主なケースとして、「競業により、企業の利益を害する場合」というものがあります。
しかし、不動産投資の場合、務めている会社が不動産投資業でない場合を除けば、ほとんどの場合において競業となるリスクは低いです。
そのため、「競業により、企業の利益を害するリスクがあるか」という点において不動産投資が副業に該当しないと主張できます。
公務員の場合は「事業規模(5棟10室)未満」・「家賃年収500万円未満」・「管理は委託」の制限がある
公務員の場合は、不動産投資が禁止されてはいませんが、規模などの面で制限が掛けられています。
具体的には以下の3つの制限が、国家公務員法・地方公務員法でかけられてます。
- 事業規模(5棟10室)に該当しないこと
- 家賃年収が500万円未満であること
- 管理は委託すること
それぞれ順に説明していきます。
まず「事業規模(5棟10室)に該当しないこと」については以下のように制限されてます。
二 不動産又は駐車場の賃貸 次のいずれかに該当する場合
引用:人事院「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」
(1)不動産の賃貸が次のいずれかに該当する場合
イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。
ハ 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること。
ニ 賃貸に係る不動産が劇場、映画館、ゴルフ練習場等の娯楽集会、遊技等のための設備を設けたものであること。
ホ 賃貸に係る建物が旅館、ホテル等特定の業務の用に供するものであること。
(2)駐車場の賃貸が次のいずれかに該当する場合
イ 建築物である駐車場又は機械設備を設けた駐車場であること。
ロ 駐車台数が10台以上であること。
そのため、住居用不動産へ投資する場合は5棟または10室未満に抑える必要があります。
次に、「家賃年収が500万円未満であること」については以下のように制限されてます。
不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行っている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合
引用:人事院「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」
利益ではなく費用などを差し引く前の収入が500万円を超えてはいけないことに注意が必要です。
最後に、「管理は委託すること」については以下のように制限されてます。
入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること。
引用:人事院「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」
このため、管理費を節約しようとして自主管理することはできません。
会社員が不動産投資する際の注意点
会社員が不動産投資をする上での注意点があります。
主な注意点は下記の3つです。
- 副業規則に引っかからないようにする(例:管理は委託する)
- 不動産投資が会社にばれたくなければ住民税を普通徴収にする
- 不動産投資を含めた副業の所得が20万円を超える場合は確定申告する(青色申告を推奨)
それぞれについて詳しく説明していきます。
副業規則に引っかからないようにする(例:管理は委託する)
既に紹介した通り、厚生労働省が掲げる副業規則のモデルでは以下の4つのいずれかに該当する場合、副業として禁止されており、同様の規則を掲げる会社は多いと思われます。
(副業・兼業)
引用:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
第68条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合
上記4つに該当しないように、建物や入居者管理は管理会社に委託するなどしましょう。
不動産投資が会社にばれたくなければ住民税を普通徴収にする
会社で明確に不動産投資が禁止されているわけではないものの、あえて会社に申告しておらず、ばれたくないケースもあると思います。
そのような際は住民税を普通徴収にしましょう。
住民税とは所得に応じて課せられる税金であり、会社員の場合は会社が給与から天引きして納税することが原則です(特別徴収)。
特別徴収の場合、住民税決定通知書が会社へ届いた際に、これに記載の住民税額が、給与に応じた額よりも多すぎたり、少なすぎる場合に、「他の収入があるのでは?」と疑われて、副業が発覚するケースがあります。
このケースを避ける方法として、特別徴収から普通徴収(自分で納める形式)に切り替える方法があります。
手続き方法は各自治体に確認ください。
不動産投資を含めた副業の所得が20万円を超える場合は確定申告する(青色申告を推奨)
個人で確定申告をする際は青色申告と白色申告の2種類があり、青色申告を利用することを推奨します。
両者の違いは以下のようになります。
比較項目 | 青色申告 | 白色申告 |
税務署への事前申請 | 必要 | 不要 |
控除額 | 最大65万円 ※事業規模(5棟10室)を満たしていない場合の控除額は10万円 | 10万円 |
帳簿付け | 複式簿記(ルール厳しめ) ※事業規模を満たしていない場合は単式簿記(ルール緩め)で可 | 単式簿記(ルール緩め) |
赤字の繰り越し | 3年間繰り越せる | 繰り越せない |
経費の幅 | 広い(例:家族への給与を全額計上できる) | 狭い |
※控除額は黒字の場合に、所得税・住民税を計算する際の利益から除いてくれる額です
※赤字を繰り越せることで、黒字が出た場合に赤字額と相殺し、その分所得税・住民税を低くすることができます
上記を見て分かる通り、青色申告は事業規模でない場合でも白色申告と比べてメリットが大きく、税務署への事前申請も簡単にできます。
そのため、不動産投資をしている人は規模に関わらず青色申告をおすすめします。
会社員に不動産投資が超おすすめな理由
この記事の最後に、会社員にとって不動産投資がおすすめな理由を説明します。
不動産投資に興味があるけど、具体的にどんなメリットがあるかまでは把握できていない人はぜひご覧ください。
また、私自身も不動産投資によって給与収入とは別に安定的な収入を手に入れたことが、起業の際の支えとなりました。
不動産投資がおすすめな理由は下記の通りです。
- 銀行から融資を受けやすく、少ない元手でも始められる
- 安定的に収入が得られるから転職や起業、リストラ時の備えになる
- 手間が少ない(本業への支障が少ない)
- 所得税・住民税の節税になる
- 生命保険代わりになる
- 年金にもなる
ここからはそれぞれの内容について詳しく説明していきます。
銀行から融資を受けやすく、少ない元手でも始められる
会社員の場合は不動産投資の融資が受けやすく、規模を拡大しやすいことが非常に大きなメリットです。
不動産投資は物件価格が数百万、数千万円するため、「そんなお金自分は持っていないから無理だ」と思われる人が多いかと思いますが、実は銀行から融資を受けやすいため、物件価格よりも少ない元手で始められます。
実際に不動産投資をする多く人は銀行から融資を受けて物件を買っています。
ご自身の勤務先や年収、資産などにもよりますが、物件価格の全額やそれに近い額の融資を受けることも可能です。
不動産投資のメリット・デメリット・リスクとは【不動産投資家が解説】
会社員が融資を受けやすい理由としては、安定した給与所得があるため物件の収益で返済してもらえなくても給与所得から返済してもらう余地があると銀行が考えているためです。
安定的に収入が得られるから転職や起業、リストラ時の備えになる
不動産投資は毎月家賃が入ってくる仕組みであり、入居者はだいたい数年にわたって入居するため、毎月安定した収入を得られます。
そのため、転職や起業など収入に変化が生じるリスクがある挑戦への心理的ハードルを下げてくれます。
また、万が一会社が倒産したり、リストラされた時のダメージを抑えてくれます。
手間が少ない(本業への支障が少ない)
上述の通り、不動産投資は他のビジネスと比べてかける手間や時間が少ないことが特徴です。
そのため日中は会社員として働いていても不動産投資と両立することが可能です。
所得税・住民税の節税になる
不動産投資は節税対策になり、具体的には所得税、住民税、相続税、贈与税を節税できます。
詳細は後述の別の記事で紹介し、ここではなぜ節税できるかの概要だけを説明します。
所得税/住民税については、物件購入時に支払った建物部分の購入額や仲介手数料などの費用を、給与所得などと損益通算することができるため、課税される所得額を引き下げて、所得税・住民税の額を引き下げることができます。
「でも、それって投資で利益が出たらその分、税金が上がるのでは?」や、「節税になるってことは投資で損しているのでは?」と思う人もいらっしゃるでしょう。
ですが実は必ずしもそうではないのです。損をせずに節税できる仕組みがあります。詳細は後述の別記事をご覧ください。
生命保険代わりになる
融資を受けて物件を購入する際は団信(=団体信用生命保険)というものを付けることができます。
金利の一部として保険料を支払うことで、死亡時や働けなくなった際に融資残額が免除される保険です。
例えば、5000万円のアパートの融資残額が4000万円だとしたら、4000万円の返済が免除され、アパートという純資産だけが残ります。
そのため、自身が死亡したり働けなくなっても、借金を配偶者や子供に背負わせることはなく、資産だけを残すことができます。
不動産投資のメリット・デメリット・リスクとは【不動産投資家が解説】
年金にもなる
会社員を退職した後でもに不動産投資をしていれば会社員ほど働かずに退職後も安定した収入を得られることができるため、年金代わりになると捉えることができます。
不動産投資のメリット・デメリット・リスクとは【不動産投資家が解説】